目標から計画する、デザイン思考で広がる世界<前編>

〜 thincな人・GOOD GROW 亀井さん ✕ 鳥取県 米子市 〜

近年、ビジネスの世界でも、デザイナーの思考術である「デザイン思考」が経営に取り入れられるようになってきました。デザイン思考はどのように活かせるのか―鳥取県米子市でデザイン思考のフレームワークを取り入れたまちづくり事業を展開中のデザイン会社、株式会社GOOD GROW 代表の亀井 智子(かめい ともこ)さん。地域のイベントの企画・運営やカフェ事業を通し、商店街の活性化への取り組みも行っています。亀井さんは過去に化粧品メーカーで働きながらデザインを一から学び、フリーランスのデザイナーを経て、現在の会社を起業。カフェ事業は自治体と地域の民間との連携によって創られたまちづくりファンドの第一号案件ということで、地域からも注目を集めています。そんな今をときめく亀井さんに、デザイン思考を活かして自分のやりたいことを実現し、世界を広げていくためのヒントを伺いました。

やりたいことに、わがままでいる。

化粧品メーカーでECショップの店長を担っていたという亀井さん。ECサイトの立ち上げに携わる中でデザインに興味を持ち、本格的に勉強。自分の力で稼ぎ、道を切り開いていくという働き方に憧れ、会社を辞めて、フリーのデザイナーになりました。安定を捨ててチャレンジするという選択、そこに不安はなかったのでしょうか。

Q. メーカーの社員からフリーのデザイナーになった理由は?不安はありませんでしたか?

子どもが2歳になり働き始めようと、時短で働ける化粧品メーカーに就職しました。そこではECショップの立ち上げに携わり、マーケティングやサイトのデザインを担当していました。自分でもスキルアップの必要性を感じていた時に、会社からの支援もあり、米子にできたデジタルハリウッド(以下デジハリ)の「WEBデザイナー専攻・バナー実践コース」に6か月通いました。作りたいデザインのイメージがあっても方法がわからず苦心していたので、自分に足りてなかった部分を学ぶのは楽しく、次第にデザイナーになりたいという思いが強くなっていきました。その後、自分の力で稼ぎ、道を切り拓いていく、フリーのデザイナーの働き方に憧れたのと、今後の自分の人生を考えた時に、不安よりも挑戦してみたいという気持ちが強かったため、会社を退職することを決意しました。

Q. フリーランスになって仕事は順調でしたか?

デジハリで学んだことで自信がつき、仕事はたくさんあるだろうし、一人前のデザイナーとしてやっていけると自信があったのですが、いざ仕事にしてみるとそんな甘い考えは通用しないことを実感していきました。デザインは奥が深く、正直かなりあまく見ていました(笑)。

スキルアップはもちろんですが、自分だけの強みが必要だと感じ、レスポンスの速さを常に意識してきました。信頼関係を築くために即レスするという目標を持ち、実践してきました。当時はバナー制作の仕事をメインで行っていました。LPやWEBサイトの制作に比べ、スピード感があり短いスパンで納品まで進んでいくバナー制作の仕事が自分に合っていたようです。たかがバナー、されどバナーで、バナーにはすべてが凝縮されているように感じていました。文字の組み方や選び方、色味の使い方やデザインはもちろん、限られた小さなスペースの中で、何を伝えるかを考え、優先順位を付けて不要な要素を省き、情報の強弱を付ける。その考え方は他の仕事にも活かせることが多かったです。また、ひとつのことを一生懸命やることで、道がどんどん広がる感覚は、今行っているまちづくりの事業でも感じている部分があります。子育てをしていたので、定期的な収入が得られることも大きかったです。

Q. 地域の仕事もされていますが、そこからどのように広げていきましたか?

フリーになって数年が経ち、WEBサイトだったり、名刺のデザインだったり、地元の案件も徐々に増えていきました。大切にしていたのはSNSでの情報発信です。制作実績や、個人的な思いをどんどん発信していきました。SNSで繋がった方から、お仕事のご相談をいただくこともあります。優秀なデザイナーさんがたくさんいる中で、どのようにして振り向いてもらうかを考え、実践してきました。商店街の活性化に取り組むようになってからはメディアにも出演する機会が増えました。私自身は、有名になりたいとか顔を売りたいとかは全くありません。むしろ苦手なくらいです(笑)。ただ、商店街活性化は私の中で一つ大きな目標になっていて、そのためには苦手なことにも腹を括ってどんどん挑戦しよう、顔出しなども事業のPRとして最大限有効活用してやろうという覚悟をもって臨んでいます。メディアに出ることで、自分の想いも伝えることができ仕事の幅も広がっていると実感しています。

Q. フリーランスを経て会社を設立されましたが、その経緯を教えてください。

地域に関わっているといろんな人と出会います。商店街の活性化という新しい夢もでき、自分のやりたいことが一人では叶わないものになっていました。そのタイミングで、一緒に仕事がしたい、このチームなら前へ進めると思える仲間と出会い、法人化に向けて具体的に動くようになりました。法人化は未知の領域で不安もありましたが、タイミング良く素敵な建物ともご縁があり、結局、会社を設立する前に物件を契約していました(笑)。「私はこれ!」と決めたら、とことん集中してやる。やりたいことにわがままなのかも知れませんが、そうやって自分の世界を広げてきました。




デザインだけでなく地域イベントを企画・運営し、商店街活性化に取り組んでいる亀井さん。拠点となるカフェも商店街にオープンさせました。後編では、デザイン思考を取り入れたカフェオープンまでの経緯と事業のこれからに迫ります。

後編はこちらから

PROFILE

亀井 智子(かめい ともこ)
株式会社GOOD GROW 代表
フリーランスデザイナーを経て、会社を設立し鳥取県米子市でWEBデザイン・広告・動画制作やSNSの運用サポートなどを行っている。デザイン思考を取り入れた商店街活性化への取り組みや地域イベントの企画・運営などを通してまちづくり事業も展開中。2022年4月には市や鳥取銀行、米子信用金庫が設立したまちづくりファンドの活用の第一号として、「Goods&Cafe みっくす」をオープン。
Goods&Cafe みっくす 
https://www.instagram.com/goods_cafe_mix/

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