俳優、声優として東京で活躍したのち、それらの仕事をセーブし、地元・茨城県へとUターンすることを決めた安達勇人(あだちゆうと)さん。芸能界の肩書きに頼らず、「人間・安達勇人」としてゼロから活動をはじめ、老若男女の地元ファンに愛されるように。現在は、いばらき大使として、また、2018年に設立した株式会社ADACHI HOUSEの代表として、マチおこし活動の幅を広げています。「地域プロデューサー」という肩書きが生まれた由縁、茨城県を盛り上げるためにおこなっている活動への想いについて伺いました。
地域プロデューサーとして
地域で夢づくりを
茨城県での活動を本格化させ、株式会社ADACHI HOUSEを設立しました。『ADACHI HOUSE CAFE』の運営やアーティスト活動、祭りの主催など、いろいろな活動をしていくなかで、「プロデューサー」と呼ばれることが増えました。ある取材を受けたときに「安達くんって、一体何者なんでしょうね」という話になり生まれたのが、「地域プロデューサー」という肩書きです。
正直、自分では「プロデューサー」の意味はよく分かっていないのですが、肩書きを聞かれたときに「地域プロデューサーです」と伝えることで、活動内容をイメージしてもらいやすくなったようです。確かにゼロイチで祭りやイベントをつくることが多いので、合っているネーミングかなと思っています。
自分の活動を言い表せるようになってから、よりいろいろな方からの相談が舞い込むようになったと感じています。とはいえ、名刺の肩書きに入れたり、自分から「地域プロデューサーです!」とPRしたりしてはいないんですけどね。「結局、何をしている人なの?」と聞かれたときの説明として使っています。

茨城県での活動が知られるようになり、他の地域から講演に呼ばれることも増えました。そこで時々耳にするのが、地域で何か新しいことをしようにも、周りからの理解が得られずに苦労しているという話です。僕は年齢の高い方たちとも仲良くしてもらえているのですが、人によっては世代間ギャップに苦しむこともあるだろうと思います。伝統を重んじたいと考えている方に、新しい提案を受け入れてもらえないということは、地域活動における「あるある」かもしれません。ですが、時代は変化し続けています。過去の積み重ねを大切にするあまり、時代の変化に対応しないままでいると、人口減少や集客難という課題に直面することになってしまう。ジレンマですよね。
このようなとき、僕はやってみること、結果を見せることを大事にしています。これまでの歴史を築いてきた人へのリスペクトを忘れず、一緒に取り組むなかで新しい方法を実践し、結果を見せるんです。すると、「本当だ、ありがとう」となり、「任せるよ」と言ってもらえるようになります。地域で何かをするには、段階を踏んで住民の信頼を獲得していくことが肝ですね。その地域で長く暮らしてきた方にとって、新参者の言葉や考えが甘く聞こえてしまうのは無理のない話ではありますから。まず一緒に取り組んでみることで、彼らが大切にしてきた想いを理解することができます。
僕らはエンタメをつくる、夢を売るのが仕事ですから、数字にできないことを体現し、体感していただくことで味方を増やせると思っています。結果が出ないと人はついてこないですから、夢を語る上でも「叶えること」「結果を出すこと」は必要条件だと思いますね。
18歳のときに描いた夢を叶えた
『ADACHI HOUSE CAFE』をオープンし、『ADACHI HOUSE FESTIVAL』を開き、2024年には『IBARAKI DREAM LAND』の第1回を、2025年に第2回を開催しました。これらすべては、18歳でひとり暮らしをしていたとき、箇条書きしていた「将来やりたいこと」なのです。ひとつずつ叶えてきて、ようやく2024年に「数万人のフェスをやりたい」という夢を実現させ、成功を収めることができました。「歌手や俳優になりたい」と言ったときと同じく、フェスも「数万人は集まらないよ」と言われましたね。「やったことがないから無理」も、よく言われる言葉です。
でも、人生ってやるかやらないかなんですよ。こう思うのは、中学時代、剣道部で成績がビリの状態から全国大会で優勝した経験が大きいですね。「諦めないこと」が得意で、「叶わないかもしれないから、やめておこう」は僕の人生にはありません。ちょっとした一歩でいいから、まずは踏み出してみることを大切にしています。直感人間なので、考えたらすぐ行動してしまうのです。

「明日できることは、今からやる」がモットー。そうやって即座に動いたら思った通りになりますし、動いていて良かったなと思える出来事や出会いに恵まれるんですよ。ピンチに陥ることもありますが、心が折れることはありません。危機に瀕すれば瀕するほど燃えるんですよ。弱気なもうひとりの自分をライバルに見立て、「ここで負けたら終わる」と自身との戦いに勝つことで困難を乗り越えてきました。あと、「人生何とかなる」「無駄なことはない」と思える性格なのも良いのでしょうね。
ロマンを語り行動するばかりの人間なので、会社が成立しているのは、財務に強いメンバーのおかげだと思っています。彼らがいないと、とっくに倒産してしまっていたでしょうから、本当に感謝しています。お金は確かに大事なのですが、僕は本当に無頓着で。興味がないんですよ。
僕は学校を回ることもあるのですが、今の茨城県の子どもたちの話を聞いていると、僕の頃とは時代が変わったなと感じます。「テレビに出なきゃ芸能界で活躍できない」わけではなくなり、YouTuberやインフルエンサーなど可能性が広がったことが影響しているのかなと。「いいじゃん!最高じゃん!」と思いますし、彼らに「最高じゃん!」を言葉で説明するのではなく、体感してもらいたいなと思って、『IBARAKI DREAM LAND』を企画開催しています。
『IBARAKI DREAM LAND』は、茨城県に2日間テーマパークをつくりあげるようなイベントで、無料で楽しめるものと500円で楽しめるものとがあります。2024年、2025年と2年連続で2万人もの方が来てくれたので、次は10万人を目指したいですね。全国トップのマチおこしフェスにしたいんです。
『IBARAKI DREAM LAND』がモデルになり、全国各地に広がったら、地域はもっとおもしろいものになると思っています。ちなみに、近い未来に台湾版も開催するんですよ。台湾を開催地に選んだ理由はいくつかあります。ひとつは仕事で台湾に訪れたときの、タクシー運転手の方との出会いです。はじめて訪れた台湾で、右も左も分からなかった僕に非常に親切にしてくれました。それから僕が台湾を訪れる度に毎回連絡をくれ、迎えに来てくれたり案内してくれたりという優しさに触れ、台湾に惹かれていきました。また、別の話で、茨城県で財布を拾って届けたら、その持ち主が茨城台湾総会の会長さんだったなんていうエピソードもあるんです。他にも、「そんなことある!?」と思うようなご縁が重なっていて、彼らと『IBARAKI DREAM LAND』の台湾版をやってみようという話になりました。巡り合わせって、本当にあるんですよ。

ハッピーを生みだす
かっこいい大人になりたい
念願叶って『IBARAKI DREAM LAND』を開催できたわけですが、嬉しさはとっくに通り過ぎています。「次は何をしよう」「どうすれば次世代、後世に残せるものができるか」を思い描いているところです。村みたいな、経済圏をつくれたらおもしろいことになるんじゃないかなと考えています。ただ、経済効果を生むために動くのではなく、やりたいことをやっていたら、地域経済が活性化するのが理想です。やりたいことが巡り巡ってマチおこしだったという、今の生き方が気に入っています。
ただ、これまでの自分の人生も無駄ではなかったと思っています。声優も俳優も、やれるところまでやったからこそ、今の自分があるんじゃないかなと思うんですよね。僕は「売れたい」「有名になりたい」という想いがないのですが、もし声優や俳優をやっていなければ、今も「売れたい」という想いを抱き続けていたかもしれませんから。そして、「有名になりたい」と考えなくなったことで、かえってライブのお客さんが増え、ファンが増えたようにも感じています。
かっこいい大人になりたいんです。人生は一度きりですし、悔いのない生き方をしていきたいですね。そんな人生において、僕は生きがいをマチおこしに見出しました。そういう方が増えていけば、どんどんマチが盛り上がると思うんです。東京も素敵ですが、地域にも独自の魅力があり、地域だからこそできること、地域の可能性があると感じています。そこにスポットライトを当てたいなと。
人生は一期一会なので、『IBARAKI DREAM LAND』のような活動をしている方とはぜひお会いしたいですし、マチおこしをしている人たちと切磋琢磨したいと思っています。そんな方たちに負けないよう、僕はこれからも一線で活動し、ハッピーを生める人間を目指していきます。そして奇跡のような景色をファンと見たいです。あなたの背中を押せるヒントになるような話ができていたら、とても嬉しいです。

ー おわりに ー
「大人になったからセーブしようなんて考えはない。毎日夢を見ていて、社員に『本気ですか!?』『待ってください』と言われています(笑)」と語ってくださった安達さん。キラキラとした瞳や熱を込めた語り節が本当に少年のようで、心底自分の人生を味わい尽くしていらっしゃるのだと感じました。3年目以降の『IBARAKI DREAM LAND』や台湾版の挑戦をはじめ、安達さんが生み出す新たなハッピーに期待大です。
PROFILE
安達勇人(あだちゆうと)
声優・俳優・アーティスト・いばらき大使・地域プロデューサー
茨城県桜川市出身。
声優、俳優、アーティスト、いばらき大使として活躍中!夢は見るもんじゃなく叶えるもの。老若男女関係なしに楽しめる一体感のあるLIVEは一度参加したらハマる事間違いなし。茨城県内各所にてLIVE開催中!
株式会社ADACHI HOUSE:https://adachiyuto.com/




