見る人に「沖縄の色」という特別な感覚を与える作品を生み出している[琉球イラストレーション]与儀勝之(よぎまさゆき)さん。グラフィック制作やWeb広告制作などの経験やCMYK・RGBの知識が作品の色づかいに与える影響について伺いました。
Profile
与儀勝之よぎまさゆき
琉球イラストレーション/art gallery soranoe(ソラノエ)ギャラリーオーナー
経験が創る沖縄の色
これまではグラフィックデザイナーとして勤めていたので、バナーやサイトなどのWebデザインの制作というのは、CMYK*¹からRGB*²へという全く異なる世界への挑戦でした。その経験が、作品の色づかいに凄く影響を受けています。その当時も感じていましたが、Web広告の制作が作品にフィードバックされていたと思いますし、アーティストとして作品を生んだことで、Web広告の制作にもフィードバックされていたと感じます。そのようにシナジーが生まれ、成長していた時期がありました。
僕の中で何一つ無駄な経験はなかったと思っています。特に作品の発色については、CMYKしか経験せずに絵を描き続けていたら、ここまでの発色にはならなかったと思います。プリンターの限界みたいな部分を追求できるようになったのは、RGBの知識をWeb広告制作で勉強したからこそですね。
沖縄県立芸術大学を卒業した与儀さんは、その後約6年間、東京の広告代理店でグラフィック制作に携わっていました。東京時代の信念は「誘いは断らない」ことだったそうです。たとえ興味を持たないことであっても、沖縄では経験できないような誘いは断らずに、一度は首を突っ込んでみるようにしていたと言います。また、それは今も変わらずにいるとお話いただきました。
作品を描き始めた頃は、バリの影絵みたいなものを意識していて、白黒の絵を描いていました。作品に色を使い始めたきっかけは「わらしべ長者」みたいな話で。友人が「DVDプレイヤーが壊れた」と言うので、使っていない僕のものをあげたところ、お返しにペンタブレットを貰いました。せっかく貰ったので色を塗ってみたことが始まりです。塗ってみると評判が良くて。面白かったので追求して、作品を重ねていくうちに自然と鮮やかさが出てきました。

(提供 : 与儀 勝之さん)
「色づかいが素敵ですよね」と言われると、最初は色のことを何も考えていなかったので、いつも少し不思議な気持ちになります。今はただ塗っているという感覚なのですが、県外に行くと「沖縄の色」と言われることが多く、どれだけ自分の中に染み付いているんだろうという恐怖もあります(笑)。沖縄から東京へ行くと、やっぱり光の感じが違うと感じるんですよね。東京の淡い感じも好きですが。色々なことを経験するということは、「何一つ無駄がない」とよく聞きますが、本当にその通りだと思います。

※1)CMYK : 印刷で使用される色表現
※2)RGB : 主にモニターなどで図形や画像、動画を扱う際の標準的な色表現
経験がもたらすアートの進化
与儀さんの作品は見る人に「沖縄の色」という特別な感覚を与えています。沖縄の風景や伝統、地域の豊かさが表現されており、作品を見た時に多くの人が「沖縄の色」と感じることは自然なことのように思えます。
色を塗るきっかけは偶然の出会いでしたが、それは大きな転機となりました。グラフィックデザインの制作やWeb広告の制作経験を通じて学んだCMYKやRGBの知識は、作品の色づかいや表現方法を進化させる重要な要素となっているようです。「何一つ無駄な経験がなかった」とのことですが、今もなお新しい経験を求める与儀さん。その経験が今後の作品にどのような影響を与えていくのか、ますます楽しみですね。
次回、『深層に秘められた想い』では、与儀さんが絵を通じて届けたい想いについて、お話を伺います。
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